2010/12/29

CCNY Portfolio:ニューヨーク近代美術館ハーレム別館プロジェクト

MOMAニューヨーク近代美術館は、世界の近代美術発展に中心的役割を果たしてきました。そして文化の中心地・観光地・教育施設としてのその存在は、何百万人が生活するニューヨークという街のあり方にも影響を与えてきました。そうした地域を活性化する力のあるMOMAが、犯罪発生率が著しく高いイースト・ハーレムに作られることにより、どのような地域的発展をもたらすことが出来るか、それがニューヨーク近代博物館ハーレム別館プロジェクトの趣旨です。

芸術はこころの叫び:  私がとったデザインコンセプトでは、犯罪は「様々な形の想念が心に対する壁を作り出した結果」起こるものとして捉え、心の叫びである芸術が犯罪の元凶であるマインドの壁を内側取り除くことができるもの、として建物デザインに表現しました。作品のメイン展示エリアは純粋な正方形の構造体に収められ、建屋の中心部に何レイヤーもの壁に囲まれまるで宝石のように設置されています。建屋外側にはギリシアのテンプルを髣髴させる石灰岩できた高いそしてエレガントな壁が何層も配置され、そのの隙間からはちらりちらりと、宝石であるところのメイン展示室がぞくことができます。そうすることにより、何層もの壁の奥に何か大切なものがある、という環境が作り出されます。そのような壁の合間に配置された入り口は、どこか太古エジプトのテンプルに迷い込んでしまったかのように高い石灰岩の壁に囲まれ、2-3のカーブを曲がると、訪問者は突然目の前に広がる大理石のコートヤードに迎えられます。そしてその奥に堂々と座する純粋な正方形のメイン建屋、心の叫びである芸術、に導かれることになります。その建屋内は大きな空洞・アトリウムとなっており、その天井からは一筋の光が差し込み、1階にある「生命の泉」を照らします。